フランジ面の隙間腐食
ステンレス鋼は、大気中では不動体被膜を形成して耐食性を発揮しますが、構造・形態・加工法・使用環境等によって、応力腐食・隙間腐食・エロージョン・水素脆性等の腐食を受けます。
隙間腐食は、構造上で何らかの隙間を生じているステンレス鋼が水分と接触した時、隙間部分と他の部分との間に生じる酸素濃度のアンバランスが原因となって腐食電池(以下:酸素濃淡電池)を形成し、陽極部となる隙間部に激しい腐食が発生する現象です。
特に、ステンレス配管の接続部に用いられるフランジ面は、ガスケットによって閉塞された典型的な隙間部であり、多くの施設で隙間腐食が発生して運用上の重大問題となっています。
現状の隙間腐食防止対策
フランジ面で酸素濃淡電池が形成される原因を排除すれば、隙間腐食を軽減あるいは回避することができます。そのための手段として現行では下記の3種類の対策が実施されています。
1.構造上で隙間を造らない。
2.接触する溶液が停滞するのを防ぐ。
3.電気防食法を適用する。
しかし、実用面でフランジ面に隙間を造らないことは不可能であり、溶液の付着や停滞を防止することもできません。
また、大気中に構築された配管には電気防食法を適用することはできないため、ガスケットの材質改良や犠牲陽極材の粉末を混入した腐食型パテを充填することで対応しています。
フランジの守護神サスケット
サスケット |
サスケットとは、隙間腐食防止用の超薄型高純度亜鉛陽極の名称です。
フランジ面に発生する隙間腐食は、電気防食法を適用すれば防止できることは知られていましたが、狭隘な隙間に、電極や陽極を設置して防食電流を供給する手段が確率できず、今日まで積極的に適用されることはありませんでした。
サスケットは、高純度亜鉛をガスケット型に加工した陽極で、裏面に導電性粘着剤を塗布してあります。フランジ面を清掃して貼り付けるだけで電気防食用の陽極を取り付けた状態になり、接続部に水分が浸透して酸素濃淡電池が形成される環境になると、自動的に機能して陽・陰極部の電位差を消滅させ隙間腐食の発生を未然に防止します。
陽極として機能することによりサスケットの表面は幾分消耗しますが、全体が高純度亜鉛で構成されていますので、通常の使用環境では局部的な損耗が進行する恐れはありません。
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サスケットは当社の登録商標です。
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